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おばさんの井戸端ジェンダー       手話は心話

イラストby白六郎 先日、はじめて地域の手話サークルをのぞかせてもらいました。

12畳くらいのスペースに、「入門・初級・中級」の3つのグループに分かれ、手話を交えて団欒していました。わたしはもちろん入門グループです。Mさんというベテランの女性がついてくれ、自己紹介の仕方から教えてくれました。初回だから個人レッスンなのだなあ、と感動しながらおぼえていきました。

実は、わたしは10年くらい前から手話に興味があって、本を買ったり手話ボランティアさんの教えを受けたりしたことがあるのですが、まあすっかり忘れちゃっていました。だから、Mさんには、「手話は初めて」の顔をして教わりました。

Mさんの教え方は穏やかでわかりやすかったです。「基本は自分の胸の前の四角い範囲で手話をする」とのこと。つまり、手の位置をやたらにずらさない方が相手に見やすい。手話はちょっと指を動かしただけで意味が違ってくるので当たり前なのですが、やはり、きちんと指摘してもらわないとわかりませんでした。

数の数え方は99まで覚えました。それ以上やると、全部ごちゃごちゃになるので止めました。五十音の指文字で、自分やMさんの名前の表し方も教わりました。自分の氏名だけは家で練習していったのですが、微妙にちがっていました。けれど、予習をやっていたおかげでおぼえやすかったです。

そのうち、耳の不自由なSさんがこちらへ来られました。わたしは難聴の人と話すのは初めてなので、ドキドキしました。けれど、側でMさんがやさしくサポートしてくれたので、わたしの自己紹介の手話もなんとか通じました。嬉しかったです。通じた場合は、左右の人さし指の先をくっつけます。通じなかった場合は、はじきます。

そうこうしているうちに、わたしは喉がからからになり、脳ミソの容量も限界になりました。まだ1時間足らずです。でも、「水、買ってきます!」と申し出て、近くの百円ショップに行きました。ペットボトル2本抱えてもどったわたしにMさんがやさしく言いました。「まじめに全部覚えようとしたら、続きませんよ。何かひとつ覚えて帰ったらそれでいいんです」

まさに、その通りと得心したわたし。続けて、Mさんは大胆なことを言ってくれました。「初心者だから入門クラスとは限らず、初級・中級へ入ると、その時にやっている手話がわかるから、どこでもいいのですよ」そうだなあと納得し、手話は構えてやらなくていいのだなとわかりました。スキーとか外国語を習うのだったらそうはいきませんね。

後半になり、1週間後に迫った日帰り温泉旅行の話し合いになりました。

実行委員が「参加者があと1名増えると団体扱いになるので、どなたかいませんか」と、黒板の前に立って言葉と手話で切々と訴えます。サークル員の「援助費はあるのか」に対し、代表のHさんの「あるっちゃあ、ある」と、太っ腹で玉虫色の言い方は秀逸でした。再度、実行委員の人たちが話し合ううちに参加を希望する人が出てきてめでたしめでたしでした。

次に、中学校の総合学習支援福祉祭りなどについて参加者が募られました。難聴者の手話通訳という役割です。担当の役員さんが「手話ができなくても全然かまいません。最後は筆談でやればいいのですから」と、顎を小指ではじく手話を繰り返しました。だんだん手が挙がり、人数が揃いました。わたしも、もう少し体力がついたら、手を挙げたいものだと思いました。

はじめてのサークル参加で思ったのは、手話をやっている人は表情が豊かだなということです。手話は、手だけでなく、顔と気持ちで話すのが大事だそうです。手話の基本は、身振り手振りだから、外国に行って言葉が通じない場合の話し方と同じだなあと思いました。国際手話もあるそうで、エスペラント語よりはるかに覚えやすいと思います。

手話は、まず伝えたいという気持ちを持つ。それから、相手の気持ちをわかろうとするなのだと思いました。

会場には30名近く参加していましたが、男性は難聴の人が1人だけ。そういえば、今まで見た手話通訳者はほとんど女性ですね。子どもは女子も男子も手話が好きなのに。男はまず稼がなくてはならない存在だったからでしょうか。手話というと、まずボランティアという言葉が浮かぶのですが、男性はそういう意味の余裕がなかったからでしょうか。

それはそれとして、女性中心の会はやわらかい雰囲気でいいものだなあと感じつつ帰りました。  (つ)

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