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おばさんの井戸端ジェンダー       『ゆっくり人生』でいこう

イラストby白六郎 数ヶ月ぶりに東武線沿いにある馴染みの美容院に行く途中でびっくり!
豊四季駅の次が「流山おおたかのもり」駅になっていました。そういえば、数ヶ月前につくばエクスプレス(TX)が秋葉原まで開通し、通勤時間が短くなったと喜んでいる人がテレビで大写しにされていました。
通勤に往復3〜4時間もかかっていた人には嬉しいことですよね。ハーブ農園など筑波と都市を結ぶ構想もあるようです。ただ、わたしはちょっと考えてしまいました。

東武線には30年以上乗っていますが、都内の電車とは違い穏やかな緑の風景が広がっていてのんびりできました。駅のホームもJRなどと違ってやかましい放送や音楽がなく、出発の合図も「ピーッ」という笛だけなのでシンプルでいいです。

ところが、この東武線上をどかぁんとTXの巨大なコンクリート高架が走り、美しく広がっていた空を覆うかのように存在していました。『わたしの青空』を奪われてしまった感じです。

上越新幹線ができた時も同じような感慨を持ちました。ことこと走っている旅情たっぷりの上越線の上をコンクリートの巨大高架がうねり、山脈をぶち抜いていました。
上越新幹線ができる前は、上野から日本海側をつなぐ急行よねやま』が走っていました。上り下り1日1本でしたが、とても便利でした。途中にある上州の高崎からだと、駅の階段を上り下りしなくても日本海沿いの柿崎駅につくことができ、当時70代の伯母たちは愛用していました。都内からでも、大宮から京浜東北線に乗りかえるとやはり階段をあまり使わなくてすみました。新幹線が開通したら、『よねやま』はなくなり、鈍行列車も少なくなりました。

雪に弱い東海道新幹線と違って、上越新幹線の雪対策は優れています。関東平野と越後平野の間に聳える三国山地の中をもぐって突っ走ります。「モグラ新幹線」と呼ばれ、トンネル以外の地上は水を出して消雪しています。雪でストップしたという話をあまり聞いたことがありません。関東と北陸を行き来することの多いわたしは、「早くて便利になった」はずの上越新幹線の恩恵をうけていますが、個人的には「上り下り」とも1日1本だった急行『よねやま』の方がずっと好きです。上野から北陸の実家のある駅まで乗り換え無しの1本で帰れたからです。新幹線だと、必ず長岡駅で上越線に乗り換えなければならなくなったし、料金は高くなったし、勇壮な三国山地の山脈は見られなくなったし。

<>トンネルをぬけると、雪国だった」情緒も味わえなくなりました。子どもの頃は、関東から帰ってくる伯母や伯父を「旅の人」と言っていたものでした。新幹線以前は三国山脈を越えることはまさしく「」だったのです。

ところが、新幹線開通からはビジネス路線になったように思います。仕事の出張が日帰りになり、ビジネスマンには都合がよくても旅人には不都合になりました。泊まってゆっくり地元の居酒屋で一杯という楽しみと余裕がなくなったし、出張先の地元にはあまりお金も落ちなくなったんじゃあないでしょうか。第一、そんなに慌しく仕事ばかりだと、旅先でのふれあいや発見がなくなってつまらないし、味わいのある「人生」とはなりにくいと思うのですがね。それに、たとえば1泊2日だった仕事を日帰りの1日で終わらせ、次の日は違う仕事をやることになって仕事量が倍増したとも言えますよね。

つくばエクスプレスに、さっそく乗ってみたという働き盛りの男性に聞いてみました。高架なので景色はよかったけれど、時速120〜130キロでちょっと恐いくらい速かったそうです。そして、2輌目はけっこう立っている人がいたのに、1輌目はがらがら。(やっぱりね)秋葉原駅で地上に出るとき、深い地下から上がるので耳の奥がキ〜ンとなったとのこと。
上越新幹線の上野駅や地下鉄の新御茶ノ水駅の、深い地下から長いエスカレーターで這い上がる時もそうだなあと思いました。ちょうどそこにいる時に大地震に見舞われたら大変。地中の方が安全だという説を聞いたこともあるけれど、地下で真っ暗になったり閉じ込められたりしたらどうしようもないです。

おおたかのもり」駅は、オオタカにずっとい続けてもらいたい願いと責任を持って名づけられたようですが、近辺の東武線沿いも年々確実に住居が増え、緑が少なくなっています。オオタカさん、居心地はどうでしょう?

ずっと以前、「職住接近」がよく言われました。人間らしく暮らすために、わたしは片道30分以内が理想だと思います。現実は、1日の通勤時間が3時間以上の人が珍しくないし、新幹線通勤・通学する人も結構いますね。「ほんとにお疲れさま」と言いたくなります。(よけいなおせっかいかな)
通勤時間の短縮は重要課題です。しかし、「職」と「住」の距離は同じで時間だけ短縮というのは違和感があります。「モモ」(ミヒャエル・エンデ作)の「時間泥棒」でなく、「距離泥棒」されたような・・・。

わたしはヨガ教室に通い始めて4年目ですが、ヨガをやっている1時間は、「時」が長くゆったり流れる気がします。腹式呼吸でひと呼吸をゆっくり深くするからでしょうか。
ところが、スピードの速い乗り物に乗っている時はどうしても呼吸が早く浅くなってしまう感じがします。(わたしだけかな)

今回はジェンダーとあまり関係がないかな。こじつければ、「スピードアップ」を至上にがんばってきたのは、男性が多いと思います。けれど、「スロースペースのある風景」(木下勇氏・千葉大園芸学部教授)とか、インドやヨルダンの子どもたちと触れ合ってきた俳優の大和田伸也氏が日本の子どもたちをもう少し「のんびりゆったりさせたい」など(どちらも10/5付東京新聞)と書いているのを読むとほっとします。
都市集中型の社会ではなく、地方分散型で、子どもが道草を食ったり日々小さな冒険ができる環境にしたいものだとずっと思ってきました。スピードアップはもういいんじゃないですか。 (つ)

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